商品価値=商品力×伝達力 2004.12.20
起業するデザイナーの中には、ブランドを構築してファッションビジネスで成功したい、と言っているのに、きちんとブランド紹介(のツール)ができていないところもあります。
「商品を見てもらえばわかる」と考えていることも多いようです。
しかし、果たしてほんとうにそうなのでしょうか?
これは、何もデザイナーだけには限りません。
今までたくさん見て来た素材業者やメーカーも同様なのです。
デザイナーとか商品企画者は、いまだに、このご時世にも関わらず、「良いものを作れば売れる」「納得いく商品になるまで改善すれば売れる」と言うのですが、今の時代は良い商品ということはあたりまえでそれがスタート地点だと考えてください。
いい加減な品質やデザインのものを買いますか?
買わないですよね。
いろいろ見比べてベストのものを買おうとしますよね。ということで、良い商品であること=商品力があるのはスタート台につくようなものなのです。
では、商品価値を高めるには、何が欠かせないかというと、「商品の魅力や価値を伝える伝達力」だと、私は考えています。
この商品は、他と比べてどこが優れているのか?
なぜ、この商品を買った方が良いのか?
この商品にはこのようなメリットがあります。
などということを、キチンと明示するのです。
さらにブランド構築の場合はデザイナーのこだわりや、どのようなライフスタイルを提案しようというのか、という世界観も伝える必要があります。
この伝達力が弱いと、取引を始めるきっかけさえ作ることができません。展示会のDMを送っても、売り込みに行こうと資料を送っても反応が得られないことになります。
わざわざ出向いてもそのブランドを見てみたい。と思わせるような伝達力がなければ、最初のハードルさえクリアできないのです。
さらに自分自身の商品をきちんと説明できないデザイナーでは、ブランドにかける熱意さえ疑われてしまいます。
商品価値は、お客様に理解してもらえて初めて発揮できるものだと思います。
「商品価値=商品力×伝達力」
掛け算ですから、どちらかが不十分でもダメです。
既に成功した企業では経営者や商品企画者、デザイナーが商品力を作り、経営者や営業、プレスが価値を伝えるのです。
しかしながら、一人で起業しようというデザイナーは、もちろん一人で両方を考えなくてはならないのです。
誰でも知っている簡単なことなのだけれど、当事者になると気が付かないのかもしれません。