良いところを教えてもらう 2006.05.11
前回のコラムで、自分の商品が「売れない原因を探る」ということを書きました。しかし良薬口に苦し、で実践された方は辛かったのではないでしょうか?
たしかに事業のどの部分が、自社の成長を阻んでいるかを知るためには役に立つ方法なのですが、売れない原因を探ることは、自分にとってのマイナス評価を集めることですから、精神的にダメージを受ける危険があるんです。
さらにいろんな人のアドバイスによって「迷いが生じ」てしまいます。
精神的にダメージを受けても、「ビジネスで成功する」という強い意思がある場合は、それを乗り越えられます。乗り越えることで経営者としての基礎力が強くなっています。
また、アドバイスはそのまま受け入れるのではなく、それを参考にして、自分なりに消化してから、改めて自分なりの方法を打ち出していくことで、有効に活用できます。鵜呑みにしてはいけないのです。
さて、自社商品が売れていないと、自社ブランドのどこがダメなのだろう、と迷うと同時に、自分のブランドの良いところ、特長は何だろうか?
自分のデザインはほんとうにお客様に支持されているのだろうか、と悩むことがあります。
デザインしている本人は、あまりにも自分の商品に思い入れが強いので客観的に良し悪しを判断することができなくなっています。
自分が売れると思っていた商品が、思うように売れないけれど理由がわからない、というような状況に陥ります。
そんなときに役立つ、とても簡単で強力な方法をご紹介しておきます。
それは、「自分の商品を買ってくれたお客様に、購入した理由を聞く」ということです。
購入してくれたお客様や、買い付けしてくれたバイヤーに何が良かったのか、「なぜ買ってくれたのか、どのブランドと比べてこちらを選んだのか?」などをたずねることで、自分では気がつかなかった「自分のブランドの強み・特長」を知ることができるのです。
展示会に出展しているときなら、「このブランドのどこに関心を持ったのですか」と聞くことで、自分では素材にこだわっていたつもりのに、それが評価されずに色使いの評価が高かったり、プレゼンテーションが褒められたり等、自分で気がつかない「良い部分」を教えてもらえます。
その褒められた部分を伸ばしていくことが「差別化」になるのです。
また、実際に商品を販売しているなら、ホームページやアンケートはがきにより、どこが評価されているかという「生の声」を集めるのもよいでしょう。
ただし、コツがあります。
「ご意見を下さい」とお願いすると8割ぐらいは否定的な意見や改善点が集まってしまいます。そこで必ず「作り手の励みになるので、ここが良かった等、お褒めの言葉を下さい」とお願いするのです。そうすると、頼まれたほうは良い点を書いてくれます。
そしてその声が集まるほど自社商品やブランドの「強み」「特長」がはっきりしてきますから、商品開発に生かしたり、営業ツールの中で紹介することで、効果的なブランド紹介ができます。
さらに、このような褒めてくれる言葉は、作り手としても嬉しいので、仕事への意欲も湧いてきます。
私がアドバイスした企業の中には、このように集められた声の中から、商品のキャッチフレーズや紹介文のネタを集め、営業・販促ツールを作り、効果を出しているところもあります。
また、お客様の声を集める過程を通じて、ブランドのファン作りをすることも可能です。それぞれのブランドの特性や、経営者の性格によって様々な作戦が考えられます。自分のブランドを好きな人を、もっと好きにさせるために、何をしたらよいかを考えるのです。
とくに人気の専門店やネット通販会社等の事例を丹念に調べると、参考にすべきアイデアがあります。